わかる・できる・伝わる 先天赤緑色覚異常の診療ガイダンス

わかる・できる・伝わる 先天赤緑色覚異常の診療ガイダンス

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商品詳細

「正常でもない…異常とも違う… ? 」
迷う検査結果の解釈から、遺伝のしくみや患者さんへのアドバイスまで、色覚診療のすべてが一番やさしくわかります !


 学校での色覚検査が任意で実施されるようになり、精査のために眼科クリニックを訪れる患者さんが増えているなか、色覚診療の習熟の必要性が高まっていま す。一方で“色覚は苦手”という医師や視能訓練士も多く、正常とも異常ともいい難い回答をする被検者を前にして、どのように診断すべきか戸惑う場面や患者 さんへの説明に困ることが増えているのではないでしょうか。
 本書は、遺伝性疾患である先天赤緑色覚異常の基本を丁寧に解説し、色の感覚・色覚異常の見えかた・遺伝について、「わかる」ことからスタートします。次 に、著者の豊富な経験から色覚検査の進めかたのコツと判定のポイントを詳述し、実際に検査・診断が「できる」知識が身につきます。最後に、学校生活や進 学・就職についての助言や保護者からの疑問への対応など、「伝わる」説明やアドバイスの仕方をまとめ、診断後のフォローに生かせます。巻末の付録に、診断 後の説明をスムーズに、また短時間に行うために参考となる資料『先天色覚異常と職業適性』(滋賀医科大学色覚外来で配布)を収載しています。

目次

第1章 色覚のきほん
01 ― 色の感覚はどのようにして作られるのか
 ・網膜の光受容器で情報をキャッチする
 ・網膜には感受性の異なる3種類の錐体がある
 ・色を感じるしくみ
 ・脳はだまされやすい
02 ― 先天赤緑色覚異常はなぜ起こるのか
 ・3種類の錐体がすべてそろっていない
 ・2色覚と異常3色覚の違いは“亜型”の存在
 ・色覚異常にさまざまな程度がみられるのはなぜか
03 ― 色覚異常の見えかた
 ・1型色覚と2型色覚の見えかたはほとんど同じ
 ・色覚異常者の色誤認をどのように考えるか

第2章 色覚の遺伝子と遺伝を知ろう
01 ― 色覚の遺伝子は3種類
 ・それぞれの錐体に対応する視色素遺伝子がある
 ・X染色体上のL遺伝子とM遺伝子の並びかた
 ・L遺伝子とM遺伝子の構造はとても似ている
02 ― 先天赤緑色覚異常の遺伝子のしくみ
 ・色覚異常の原因は遺伝子の欠損
 ・遺伝子の欠損はなぜ起こるのか
 ・先天赤緑色覚異常の遺伝子配列パターン
 ・原因は遺伝子の欠損ばかりではない
03 ― 遺伝から考える発症頻度
 ・遺伝子の組み合わせとさまざまな表現型
 ・1250人に1人の複合保因者

第3章  色覚検査の進めかたと判定ポイント
01 ― 色覚検査の種類
 ・物体色を利用した検査
 ・光源色を利用した検査
02 ― 物体色を利用した検査の進めかたと注意点
 ・照明に注意しましょう
 ・淡々と進めましょう
 ・変色に注意しましょう
03 ― 〔仮性同色表〕石原色覚検査表
 ・どのような構成か
 ・検出表
 ・分類表
04 ― 〔仮性同色表〕標準色覚検査表(SPP)
 ・第1部 先天異常用はどのような構成か
 ・検出表
 ・分類表
05 ― 〔仮性同色表〕東京医科大学式色覚検査表(TMC表)
 ・どのような構成か
 ・検出表
 ・分類表
 ・程度表
06 ― 〔色相配列検査〕パネルD-15テスト
 ・どのような構成か
 ・検査の方法
 ・検査の原理
 ・結果の判定
07 ― 光源色を利用した検査の進めかたと注意点
 ・検査時の照明は光源色が見やすい明るさで
 ・被検者側の条件を整える
 ・検者が気をつけるべきこと
08 ― 〔光源色を利用した検査〕アノマロスコープ
 ・どのような検査か
 ・検査の進めかた
 ・正常色覚の場合
 ・2色覚の場合
 ・異常3色覚の場合
 ・型判定のフローチャート
09 ― 〔光源色を利用した検査〕ランタンテスト
 ・どのような検査か
 ・検査の進めかた
 ・結果の判定
10 ― 色覚検査のフローチャート
 ・誤読8表以上
 ・誤読5〜7表
 ・誤読4表以下

第4章 就学・就労の押さえどころ
01 ― 色覚異常は自分で気づきにくい
 ・先天色覚異常者は自分の見えかたが当たり前
 ・色覚検査は自分の“特性”に気づく機会
02 ― 学校生活で実践できる色のバリアフリー
 ・色覚検査をとりまく環境の変化
 ・学習指導で押さえておきたいポイント
03 ― 職業選択の考えかた
 ・どれくらい“色だけ”の判断が必要か
 ・自分の特性を正しく理解し, 得意な面を生かそう

第5章  診断後の“伝わる”説明とアドバイス
01 ― どのように見えているのか
 ・赤と緑を感じる力が弱く, 似て見える
 ・程度の強い弱いは, 赤と緑を区別する力の違い
 ・「何色が何色に見えているのですか ? 」
 ・弱度ほど要注意 ! 間違う可能性の自覚が大事
02 ― 子どもにどのように接したらよいのか
 ・色に関して厳しく問いつめない
 ・色をさりげなく教えてください
 ・「兄弟で同じタイプの色覚異常ですが, 程度が違うように見えます」
 ・保護者は深刻に考えすぎて落ち込まないで
03 ― 進学・就職時に気をつけること
 ・「就けない職業はありますか ? 」
 ・「進学で注意するべきことはありますか ? 」
04 ― 日常生活での心がまえ
 ・色だけで判断するときは用心すること
 ・「信号灯はどのように見えていますか ? 」
05 ― 遺伝について
 ・「保因者であるかどうか調べてください」
 ・「自分(父親)が色覚異常で, 娘にそのことを伝えたほうがよいでしょうか ? 」
 ・「治療法はありますか ? 」
 ・色覚異常の正しい知識を伝えるのが第一
 ・おわりに

付録 先天色覚異常と職業適性

索引

●Q&A●
・mRNAとは何ですか ?
・仮性同色表の提示時間を守るべきでしょうか ?
・正常色覚者に石原色覚検査表の環状表は難しい ?
・石原色覚検査表は, 数字表だけで判定してはいけないの ?
・色覚検査が可能な年齢は ?
・パネルD-15テストは1回の検査でよいのですか ?
・パネルD-15テストをフェイルしたら, 強度異常なので2色覚ですか ?
・アノマロスコープのA.Q.とは何ですか ?
・仮性同色表で見逃してしまうような微度の色覚異常は, 問題にすべきでしょうか ?
・石原色覚検査表は, どの表数のものを用いてもよいのでしょうか ?
・石原色覚検査表の誤読数と色覚異常の程度は関連するのでしょうか ?
・黒板の字が白と黄のチョークだけでは, 正常色覚の生徒には退屈になるのでは ?
・職業選択を考えるときに基準になるものは ?

●コラム〔ちょっと休憩 ! 〕●
・日常で起こりうる色間違い
・L-錐体とM-錐体の起源
・色覚にも個人差がある
・遺伝子の重複
・保因者の色覚は ?
・心因性視覚障害に要注意 !
・色素色色覚異常(PCD)の謎

商品仕様

著者 村木早苗(むらき眼科)
出版社 三輪書店
発刊年 2017年